2018年10月10日水曜日

坐禅入門 やさしい坐禅のやり方

今回は簡単な坐禅止観の仕方をご紹介したいと思う。

初めにお断りしておくが、なんでもそうなんだが、文字情報だけでの指導というのは制約が多く、難しい。

 本当は寶泉寺に来てもらうのが一番良いのだが、遠隔にいらっしゃる方はなかなか難しいと思う。

そこでできるだけ簡単に、噛み砕いて説明するので、何かわからないことがあればコメント欄にどんどん質問をブチ込んでください。

まずは 動きやすい服を着ます。ジャージなど。圧迫感がない服装が良い。

また、 できれば一人になれる部屋が必要だ。
鍵付きがいい。
坐禅中に家族が入ってこられると坐禅どころではない。

ご自分のお部屋で坐禅をする場合は、まず部屋を片付けてシンプルな状態にする。

それから座布団を用意しよう。

坐禅用の丸い座布団も市販されているが、とりあえず普通の座布団を半分に折れば安定よく座ることができる。

早速座るわけだが、まずはあぐらをかいてみよう。

座布団の位置を調整してもっとも安定する位置に座ろう。

次に左足を右腿の上に置きます。左足はなるべくお腹に寄せる。

もし足の悪い方、あぐらも辛い方は椅子でも結構だ。正座が得意な方は正座でオッケーだ。

この時一番難しいのが姿勢。

大概は胸を張りすぎる!

また、背中を真っ直ぐにする・気を付けの姿勢と勘違いする御仁も多い。

なるべく背中もお腹も力を抜いて顎を少し引いて後頭部を上にリフトアップする。

全身の力を抜いて頭に風船をつけて上に引っ張っていることをイメージしよう。

イメージするだけで結構! 本当に上にあげると力が入りすぎだ。

あごは引きすぎてもいけないし上がっても行けない。

呼吸が一番楽なポイントを探してゆこう。

次に三軸法で身体の歪みを正す。

三軸法とは、身体を前後・左右・右旋左旋に動かして理想のポジションを探すことだ。

軽く前後に身体を揺らし、最も力が抜けて息が楽な角度を探す。

自分の身体に聞くのだ。

前後の角度が決まったら次に左右の角度を決める。

左右の角度が決まったら右回り、左回りに身体を回して探す。

ロックバランシングといって石を微妙なバランスで立てるアートがあるな。あの要領だ。体をわずかに動かして呼吸が一番楽なポイントを探す。

今一度、身体のどこかに余計な筋緊張がないか探すことを意識しよう。

目の周りの筋肉、耳の周辺、舌の周辺、右足から初めて順に左足、お腹、背中、肩、腕、首、頭の余分な力を抜く。

首と頭は念入りに緩めよう。

頭の骨と骨とがバラバラに離れ、筋肉が弛緩して自由になるイメージを思い描く。

姿勢が決まったら手は定印を結ぶ。

手のひらを上にして右手の上に左手を載せる。

親指同士を接するが、強く合わせるのではなく触れているような感じだ。

目は1メートル先を薄目で見るようにしよう。

大きく深呼吸を数回行う。お腹全体、胸や背中も総動員して大きく鼻から吸い込む。お腹の筋肉をフル活用して口から吐き出す。

一番重要なことは、全身を脱力することだ。

頭のてっぺんから、足の先まで、全ての力を抜いてゆく。

具体的に頭のてっぺんを意識して力を抜く。

息を吐きながら力を抜くと良い。

順番に頭→肩→腕→胸→背中→腹→足と意識を移してゆき力を抜く。


すっかり脱力できたら、次は腹式呼吸に移ろう。

呼吸に意識を集中して鼻から息を吸い、お腹を膨らませる。

息を吐くごとに心の中で「ひとーーーーつ」と数える。

数を数えるのが目的ではないので、十数えたらまた一に戻るようにする。

これを数息観と呼ぶ。

最初ななかなか雑念が湧いて数を数え忘れたり違う考えが浮かんだりだろう。

それで良い! 雑念が出たら呼吸に意識を戻す! この時に脳が鍛えられるのだ!

また、こんなことをやっても意味がないんじゃないかとか、時間を無駄に消費しているんじゃないかとかそういった考えが浮かぶかもしれん。

坐禅の意義は数え切れないほど沢山ある!

坐禅はほんの五分程度でも毎日行えば、血圧を下げ、集中力を活性させ、記憶力が向上し、認知症を予防し、姿勢が矯正され、肺活量を増やし、心が穏やかになり、ストレスに耐える力が増大し、洞察力が冴えてくる。

これらは科学的に実証されているから、安心しろ!

最初は五分ほど数息観をやってみよう。

数息観は観といっても意識を集中する「止」に相当します。「止」を行なったら同じくらい「観」を行なう。

数息観を五分行なったら、今度は観法に入る。

今度は腹式呼吸をやめて自然な呼吸に移る。

息を吐く時にさらに力を抜く!特にお腹は吐く時に力を抜くので腹式呼吸とは反対の動きになるんだ。

これを私は脱力式呼吸と呼ぶ。

脱力式呼吸は腹式呼吸と違い、筋肉を動かすイメージではなく、息を吐くごとにさらに力を抜くイメージをする。

息を吐くと共に全身の力を抜くのだ。

この時、宇宙の星々や地球の広さを感じとるようにすると良い。風の流れや遠くに聞こえる音を感じとります。そして仏教の教えを思い描く。

このとき過去に何らかのトラウマを抱えている人は過去の記憶がフラッシュバックするかもしれん。

もし、フラッシュバックしてきたらそれを心の中のスクリーンに映し出されているイメージにして、右側に回転するツマミのスイッチを想う。回転スイッチを回すとスクリーンがキュっと左スミに小さくなる、とイメージする。

小さくなったらその小さくなった映像を自分の背後に放り投げて捨ててしまおう。

何度か繰り返すと嫌な記憶は忘れ去りフラッシュバックしなくなるぞ!

数息観と同じくらい時間が経過したら、また大きく深呼吸を数回して定から戻る。体を動かし手でマッサージしよう。

「止」のみを行うならば愚(認識作用の低下)になり、「観」のみを行うと狂(人格統合の低下)になる、と言われておる。

止・観は車の両輪であり鳥の両翼で、バランスよく併修すべきもの。同じくらいの時間行うようにするんだ。

足の感覚を戻すのに歩行禅などを行うとよい。歩行禅についてはまた別に解説したいと思う。