食事を頂くときには「いただきます」食後には「ごちそうさまでした」と言いますね。
「いただきます」には、お肉や魚を食べる時に「命をいただく」という意味と、食事を頂けることへの感謝の気持ちを表す意味があります。
考えてみれば、我々は命あるものからしか命をつなぐことはできません。
岩や砂を噛んでも命をつなぐことはできないのです。
これから生きていこうとする生命力を横からいただくことで自分の命を存えているのです。
では「ごちそうさまでした」はどうなのでしょうか・・「ごちそうさま」は漢字で書くと「御馳走様」となります。
ご馳走とは「客のために奔走して材料を集め食事を出してもてなす」ことです。
実は「馳走」は仏教から出た言葉なのです。
仏教では、台所の神さまとして「韋駄天」が出てきます。
韋駄天は、足の速い仏法の守護神として有名です。
お釈迦さまが亡くなられた後、仏舎利(ぶっしゃり)を奪って逃げた「捷疾鬼」を追って、仏舎利を取り戻したというお話から「韋駄天」と言うと足が速い形容詞になったのです。
その韋駄天が、お釈迦さまの為に駆け回って食材を集めてきたという話もあります。
仏教の本来の「馳走」とは、この韋駄天の話から、食事だけではなく「他の人の為に奔走して功徳を施して救う」とか「苦しんでいる人を助けること」をも馳走と言います。
食事も実は止観であり修行と同じであると天台宗では考えます。御馳走によって大変意義深い修行をさせてもらい、命を繋がさせていただける、そのお礼が「ごちそうさま」という言葉なんですね。
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